※制度や金利の数字は2026年7月時点のものです。最新の情報は住宅金融支援機構などの公式サイトでご確認ください。

いくらまで借りていいのか、結局だれも教えてくれない…
15年前の私が、まさにそれでした。
わが家は総予算を決めないまま家づくりを始めて、大手ハウスメーカーと契約しましたが、迷走の末、数十万円を払って解除しています。
この記事では、その反省と、FP3級(3級ファイナンシャル・プランニング技能士)の学び直しから、「今ならこう決める」総予算の決め方を書きます。
先に結論です。銀行が貸してくれる額で決めない。自分の手取りから逆算する。この順番だけで、家づくりの迷子はだいぶ防げます。
総予算を決めずに始めた私は、契約解除までしてしまった
わが家の入り口は、親戚の紹介でした(このあたりの話は家づくり、何から始める?に書いています)。
月々いくらなら払えるか——正直、あまり考えていませんでした。最初の時点で「これくらいかな」というざっくりした感覚は、あったんです。でも、そのざっくりを総予算に変える方法を知らなかった。だから家を見ているうちに、形にならないまま終わりました。
わが家の失敗の根っこは、営業さんでも会社でもなく、最初に「お金の軸」を決めていなかったことでした。
先に家を見ると、「いいな」が積み上がります。いいなが増えるほど、金額はふくらむ。ふくらんだ金額を、あとから削る。削るたびに、いいなと思った家が遠ざかる——。
この迷走の果てが、数十万円の契約解除でした。くわしくは「とりあえず契約」の失敗談に書いています。
白状すると、失敗はまだ続きます。その後に組んだ住宅ローンは35年。完済するときの年齢を数えたら、70代でした。
これはやばい。
そこから必死に繰り上げ返済を続けて、完済まであと1年まで来ました。でも、最初に総予算を決めていれば、あの必死さは半分で済んだはずなんです。
ここでの学び
- 家を先に見ると、「いいな」に予算が引っ張られてふくらむ
- 順番は逆に。先に総予算(箱)を決めてから、家を見に行く

銀行が貸してくれる額は、「払える額」ではない
じゃあ、箱の大きさはどう決めるのか。その前に、知っておいてほしいことがひとつあります。
銀行が貸してくれる額と、無理なく払える額は、別物です。
一般的には、住宅ローンの審査は「年間の返済が年収の35%まで」という基準まで通ることがあります(フラット35の基準では、年収400万円以上で35%以下。出典:【フラット35】ご利用条件)。
でも、ここでいう「年収」は額面です。税金や社会保険料を引かれる前の数字。
例えば額面500万円なら、その35%は年175万円。月にすると約14.6万円です。
一方、無理のない目安は、一般的には「手取りの20〜25%以内」と言われています(みずほ銀行や三菱UFJ銀行のコラムでも、同じ目安が紹介されています)。額面500万円の手取りはざっくり390万円ほど。その20〜25%は、月6.5万〜8.1万円です。
倍近く違う。
「借りられる額」と「返せる額」は別物——私はこの考え方に、FP3級の学び直しで出会いました。もっと早く知りたかった、が本音です。
ちなみに、実際にみんながいくら借りているかというと、注文住宅では年収の6.9倍が平均だそうです(出典:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2024年度)。
ただし、これは「平均」であって「安全ライン」ではありません。みんなの平均まで借りていい、という意味ではないんです。
ここでの学び
- 銀行に「いくら借りられますか」と聞きに行かない。「いくらなら払えるか」を先に決めてから行く
- 審査の上限も、年収の◯倍も、みんなの平均も——「わが家が払える額」とは別物

今ならこう決める|総予算の逆算3ステップ
15年前に戻れるなら、私はこの順番で決めます。
ステップ1|毎月いくら払えるかを知る
出発点は物件価格ではなく、毎月の家計です。
今の家賃に「無理なく上乗せできる額」を足したものが、たたき台になります。大事なのは、希望ではなく実績で考えること。先月、実際にいくら残りましたか?
即答できなければ、まず家計の見える化からです。今は家計簿アプリを使えば、口座やカードとつないで自動でまとめられます。
ステップ2|35年の「山」をながめる
毎月の額が見えたら、次はカレンダーです。35年の間には、教育費の山と定年が必ず来ます。
FPはこれを「キャッシュフロー表」という表で確かめます。難しそうな名前ですが、要はわが家の35年カレンダー。日本FP協会のサイトに無料の雛形があります。
私はこの表を作らずに35年ローンを組んで、完済70代に青ざめました。山を見てから、返す年数を決めてください。
ステップ3|月々から総予算へ逆算する
月々の額と年数が決まれば、借りられる額は機械的に出ます。
例えば月8万円・35年・金利1.5%なら、借入は約2,613万円。これに頭金を足して、登記や保険などの諸費用を引いた残りが、家に使える箱の大きさです。
計算は、住宅金融支援機構の【フラット35】ローンシミュレーションが無料で使えます。「毎月の返済額から借入可能金額を計算」という、この記事の逆算そのままのメニューがあります。数字を入れるだけです(お使いの銀行のサイトにも、同じような試算があります)。
ここでの学び
- 順番は「月々 → 35年の山 → 総予算」。物件価格から始めない
- 箱の大きさが決まってから、カタログを集める。逆にすると、私のように迷走します

番外編|「年収の◯倍」がアテにならない理由
同じ年収500万円でも、子どもが2人いる家と、いない家。車が必須の地域と、いらない地域。手取りから毎月出ていくお金は、まるで違います。
だから「年収の◯倍」は、他人の平均でしかありません。物差しにするなら、わが家の手取りと、わが家の35年です。
(※一般的な考え方の話で、個別の家計への助言ではありません)
よくある質問
Q. 年収500万円だと、家はいくらまで買えますか?
A. 「年収でいくら」の即答は、私にはできません。同じ年収でも、手取りと毎月の支出が違うからです。今なら手取りの20〜25%を月々の上限にして、この記事の3ステップで逆算します。
Q. 予算オーバーしそうです。どこから削ればいいですか?
A. 当時の私は設備やグレードを削って、いいなと思った家が遠ざかりました。今なら、削る前に箱(総予算)へ戻ります。おかずを削るより、そもそも詰めすぎていないかの確認が先です。
Q. もう借りすぎた気がします。手遅れですか?
A. わが家も完済70代の予定でした。そこから繰り上げ返済で16年に縮めています。やり方は繰り上げ返済の記事に書きました。残高と金利を確認してから考えても、遅くないです。
まとめ|箱を決めてから、おかずを詰める
- 家を先に見ると予算はふくらむ。順番は総予算(箱)が先
- 銀行が貸してくれる額≠払える額。目安は額面の35%ではなく、手取りの20〜25%
- 決め方は逆算。「月々 → 35年の山 → 総予算」の順
- 年収の◯倍も、みんなの平均も、わが家の物差しにはならない
箱を決めてから、おかずを詰める。
お弁当箱と同じ——それが、15年かけてたどり着いたわが家の答えです。
タイムマシーンがあったら、家を見に出かける15年前の私を呼び止めて、この順番だけ渡したい。それができないから、ここに書いています。


